=院長日誌補足=
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歯科一般、小児歯科。痛くない治療、丁寧な治療をこころがけております。消毒・滅菌も万全です。
2002年3月号
「医療はどうなる?」
日誌の目次は下の方にあります

2002/03/01 (金)

ついに・・・
 僕はあまり政治のことに口出しするのは好きではない。
 政治に興味がないわけではないが、「どう参政すべき」かよく判らないからである。

 もちろん選挙にでかけて一票を投じることも、テレビの政治討論会にファックスを送ることも、参政の一形態ではあろうと思ってはいるが・・・

 医療制度改革に関しても、興味がないわけではなかったが、「僕が口を開いたところで、何がどうなるわけでもあるまい」と思って、この場でも口をつぐんでいた。

 特に健康保険の問題は深刻のようである。
 僕のような一個人がささやかな意見をここで述べても、何も変わらないだろう。
 いや、WEBの発信ごときで変わってもおかしいのだが・・・

 しかし、見るに見かねて、ちょっと今月は意見を述べさせてもらおうと思う。
 ちょっと今日は体調が優れないので、まずは序章代わり、ということで・・・
2002/03/04 (月)

重い・・・
 実はちょっと後悔している。
 テーマが重たいからである。

 勢いを持って書きたいが、でも、利害が交錯する場面もあるだろう・・・

 こういうタイトルにしようと思った発端は「医療制度改革」が声高に叫ばれ、そして現に政府管掌等の本人一部負担金が3割になろうとしていることである。

 実はこうなるのには大きな原因がある。
 そして、為政者も当然そのことに気付いていながら、何も手を打とうとしていない。
 誰も解決策を打ち出そうとしていない。与党も野党も、である。

 それが抜本的な構造改革であるはずなのに、「構造改革」を旗印とする現首相も何も言っていない。
 だから、何が構造改革なものか!と、ちゃんちゃらおかしい。

 今の社会で、経済が停滞し、医療制度をどう改革しようと、どうしようもないのである。どうして根本的に何が原因かを見つめて、改革しようとしないのだろうか?・・・

 それが今の僕の大きな疑問である。
2002/03/05 (火)

トンチンカンな抜本改革
 ちょうど昨晩の「たけしのTVタックル」でここで問題にしようとしていたような内容を放映していた。

 3割負担になっても抜本的な解決にはならないとか、抜本的な解決をするには「悪徳医療機関」を締め出すことを優先せよ、といった内容。
 また、大学病院などの弊害も声高に叫んでいたし、「社会保険支払い基金」の体質についても触れていた。

 内容としては面白かったが、とうてい僕の考える「真の抜本改革」には遠い内容だった。

 サラリーマンの自己負担を3割にしても、何の解決にもならない。
 医療機関への支払いを減らす方向に持っていくのも、何の解決にもならない。正直者の医療機関が損をし、結局悪徳医療機関がもっともっとはびこるだけである。

 時の為政者が厚生大臣だった時にサラリーマンの自己負担は「1割から2割」に引き上げられた。

 何か良くなったろうか?何か解決されただろうか?・・・
 何も良くなっていない。何も解決されていない。
 結局は数字を逆算して帳尻合わせをしようとしているだけなのである・・・

 どうせ、また医療費がパンクし、また早晩何らかの応急手当をしなければならないのは時間の問題であろう。
2002/03/06 (水)

さて・・・
 そろそろ、僕が何をもって「抜本改革」だと考えるか披露しなければなるまい・・・

 それは「少子高齢化対策」である。
 しかも、現在考えられている「少子高齢化対策」ではない。

 今、一般に言われる少子高齢化対策は、「これからコドモの数が減ってお年よりが増えてくるので、さて、その構造が極端にひどくなる前に何か手を打ちましょう」という意味合いであろう。

 真の意味で「少子高齢化対策」を何とか考えましょう!という議論は見たことも聞いたこともない。

 ただ、漠然と、「このまま少子高齢化が進むと、将来はこんな人口動態になります。大変ですね〜、年金大変、健康保険大変、福祉大変、さあ困った困った〜」
 ・・・そんな論調しか見受けることができない。

 まして、定年延長を考えるとか、福祉を切り捨てるとか、医療を切り捨てるとか、そういう対処療法しか表沙汰にならない。

 この問題ってどうして政治家は真面目に取り組まないんでしょかね〜?

 ・・・僕は不思議でならない・・・
2002/03/07 (木)

1.36
 少子高齢化の問題に関しては、マスコミもあまり取り上げない。

 と思っていたところ、3月4日(月)の読売新聞に特集が組まれていた。
 まるごとここに載せるのは恐らく法に触れるので、要点をかいつまんで列挙したい。

 ・一部の人間は憂いているが、深刻な少子化の問題に関心を寄せたり対策を講じる人はあまりいない。
 2000年の出生率は1.36で、人口維持に必要な2.07との差は開く一方。今のままでは100年後の日本の人口は約4000万人になる。

 ・高齢者対策に比べ、少子化対策には政府の取り組みも極端に小さい。予算も20分の1以下。
 政府関係者も「子供は若夫婦の問題で政治が関わることではない」、とのこと。他の欧米各国に比べ、本気で取り組んでいない。

 ・女性の地位向上に伴い、これまでの専業主婦世代とは考え方が異なる。ただ、98年厚生白書では、他の先進国では「女性の社会進出が多いほど出生率が高」く、日本人の働き方を変えないとならない、と指摘。
 経済効率ばかり追求せず、配偶者や職場、ひいては社会全体の育児に対する姿勢や協力体制も必要である。

 以上は特集記事前半をまとめたものである。
 一応まとめるにあたり、僕の主観は入らないようにした「つもり」である。
2002/03/08 (金)

偶然の一致?・・・
 読売新聞の特集記事後半である。

 ・少子化の悩みは先進諸国共通の悩みである。人口維持の水準を上回るのはアメリカくらい。西欧でも、アメリカ、ノルウェー、フランス、イギリスなどは比較的高水準。
 手厚い家族政策や出産奨励的な政策が役立っている。また婚外子の割合も高い。(ノルウェーでは49%が婚外子)

 ・対して出生率が低いのは日本、ドイツ、イタリア。日本とドイツは1.36で同じ。イタリアに至っては1.19である。
 伝統的な家族意識が強く、女性の労働力や婚外子の割合が低い。

 以上が後半部分のまとめである。

 ふと気付いた・・・出生率が低い3国は、数十年前、世界に向けて無謀な戦いをいどんだ三国同盟そのまんまではないか!

 偶然の一致とは思えない・・・
2002/03/13 (水)

独裁政治
 本来のタイトルと少子高齢化は直接的な関係はない。また、僕がその対策に関してどうしたらいいか、考えるつもりもない。
 ただ、医療・福祉等に関しての抜本的対策として、政府がもう少し本腰を入れて「少子高齢化対策」を考えてもいいのではないかと感じているだけである。

 健康保険という制度は「掛け金を払う人」と「受給を受ける人」のバランスが吊り合っていないと破綻するのは当然である。

 どうして、まずその根本原因に着目しないのか不思議でならなかったからである。

 三国同盟に関しては、恐らく「家族」としての意識とか女性の地位、そしてカリスマ性のある指導者に大方の人が同調してしまうという国民性に共通点があるのだろう・・・

 一時、今の為政者に80%台の支持率が持続した時は、恐怖を覚えていたものだった・・・
2002/03/14 (木)

医療費増大
 さて、医療費の自己負担率を高くすることによる弊害があるのに、為政者は気付いていないようである。
 特に歯科で顕著に現れるはずである。

 何にせよ疾患は早く治した方がいい。早期発見早期治療が重要である。

 小さな虫歯ができる。まださほど痛くない。ちょっと冷たいものがしみる程度だ。
 でも医療費の自己負担金が高い・・・受診をちゅうちょする・・・
 そのうち痛くなる・・・夜も眠れないほど痛くなってくる・・・

 絶対に小さい虫歯の方が治療費が安い。小さな詰め物で治せるからである。
 神経の治療をすると、神経の治療費も被せるものも大きくなり、医療費は膨らむ・・・

 神経に達してもなお、我慢していると、今度は炎症が骨に達し、そのまま放って置くと抜かざるを得ない状態になる。
 そうすると、噛むのにも支障が出てくる。
 この時点で受診すると、抜歯、そしてブリッジへとなってしまう。医療費は膨らむ一方だ。

 恐らく他の疾患でもそうだろう・・・初期の状態で我慢して市販の売薬でごまかしごまかし様子を見る。
 いよいよ我慢しきれなくなって受診する。
 病気が進行していて、治療もおおがかりになる・・・医療費は膨らむ・・・

 多分、医療費は削減されるどころか、ますます膨らむだろう・・・
 これじゃあ、医療の抜本改革どころのハナシじゃない。
2002/03/15 (金)

どっちがお得?
 これは一例である。
 もしかしたらたまたまかも知れない。

 とある、お年より・・・胃腸が悪くて入退院を繰り返していた。
 入れ歯の具合が悪くてウチを受診する。

 とにかく新しい入れ歯を作って毎週毎週調整した。歯も全部治した。
 治した後も毎週毎週通院して歯と歯茎、そして入れ歯の状態をベストに保った。
 すると、入退院の回数が激減したのである。

 恐らく三分の一くらいに減ったのではあるまいか?・・・
 その方は今も毎週通院してきている。

 現在は歯茎の治療と、入れ歯の調整を繰り返しているが、それだけの医療費がかかっても、入院の治療費に比べればすずめの涙ほどしかかからないはずである。

 医療費を削減するには、こういう部分に着目する必要があるはずだ。
2002/03/19 (火)

かかりつけ
 医療費の報酬は2年毎に見直される。

 今年がその改正期である。4月1日から変わるというのに、当地の歯科医師会ではその講習会をぎりっぎりの3月29日〜30日にするという・・・

 もちろん他からはいろいろな情報がもれてくるし、大枠の情報は日本歯科医師会から送られてきている。

 細かいことはここに書いてもしょうがないので、書かないが、またちょこちょこ変な改正だなぁと伺われる。
 2年前から「変な制度」が導入されて、それが一層推し進められているのだ。

 それは「かかりつけ初再診」という制度ではある・・・
 あまりに珍妙な制度なので、ウチは登録はおろか申請すらしていない。

 だって、「かかりつけ」という概念は「患者さんサイド」の意識であり、それを「歯医者の側」でどうこうすることではないからである。

 この制度に関しては、僕は反吐が出そうなくらいに苦々しく思っている。(汚い表現でごめんなさい)
2002/03/22 (金)

改悪
 今回の歯科医療に関する保険点数の改定はとても悲しい内容であった。

 全体として点数が下がるのは時節柄仕方がないことだと思っている。
 ところが、中には点数が上がったり、状況しだいでは高い点数がいただける項目もある・・・

 僕が大層不満なのは、「虫歯を削って小さく詰める」という治療が大幅に減額されていることなのである。
 それに比べて神経を取るなどと言った治療は増額されている。

 つまり・・・小さい治療は評価されず、大きな治療に重きが置かれる改定だなぁということである。

 なんか、時代の流れに逆行している気がする・・・

 諸手続き等の関係で仕事が増え、しばし更新が滞るかも知れません・・・
2002/03/25 (月)  今日もあまり時間が取れず、ちゃんとした記載ができません・・・

 とりあえず「かかりつけ歯科医」という制度は疑問点だらけなんですが、登録だけはしておこうと手続き中・・・
2002/03/26 (火)

社保の空洞化
 本来の話題にちょっと戻す・・・

 社会保険本人の自己負担が3割になると、絶対にある現象が起こるはずである。「社保離れ、国保増加」である。

 だって、一部負担金が同じなら国保の方が掛け金が自治体によっては安いからである。

 もちろんある程度以上の企業ではそれは法的には許されないはずである。
 だが、中小企業などでは社会保険や厚生年金を脱退するような会社も出てくるかも知れない。

 そうすると社保の空洞化に拍車がかかるだろう・・・
 為政者はそこまで読んでいるのだろうか?・・・
2002/03/27 (水)

無題
 以前ドキュメンタリーで面白い内容の番組だったのでかいつまんで紹介したい。
 いつ、どこのチャンネルでやっていたか忘れたが・・・

 某自治体では、積極的にお年よりの健康増進に力をいれているそうである。
 体力測定をし、ジムを開放し、とにかくお年よりに競って身体を鍛えさせているそうなのだ。

 その結果として、医療費が激減したと言うのである。
 他の市町村と比較して、寝たきり老人の比率も激減したそうである。

 今の医療制度は「比較的小規模な治療」はおろか「予防」にすら力を入れていない。各自治体はがん検診や、成人検診ということは行ってはいるが、積極的に予防に努めようとか、積極的に健康を増進させていこうという意欲は感じられない。

 まして、国レベルでは、個人個人の健康は個人で守るもの、という意識どころか、「国民の健康を司る省」がウィルス入りの薬を取り締まらないくらいなのだから、あきれてモノも言えないのではあるが・・・
2002/03/28 (木)

無題
 今月は今までになくとりとめない内容になってしまった。

 とにかく、医療費はかなり膨大な額に達するにも関わらず、その決まり方はとてもいい加減である。(らしい・・・)

 大した審議がなされていないと聞き及ぶ。
 だから、抜本改革など、絶対に程遠い。

 ただ、ふと思うのは、「何かことが重大な局面に瀕しない」と対策を講じないというのは、ある意味、国民性なのかなぁ?とも思われる。

 諸外国の民族、人種に比較して「喉元過ぎれば熱さ忘れる」人種だからなぁ・・・
 他にも「人のウワサも75日」というのもあるし・・・

2000年: 7月号 8月号 9月号 10月号 11月号 (以上、雑記)
2000年:12月号 「カレンダーと時間のナゾ」
 (筆者イチオシの力作です)
2001年: 1月号 「バカは風邪ひかない、と進化論」 
2001年: 2月号 「歯はなぜしみるのか?」
2001年: 3月号 「僕のIT革命」 (閲覧者の反響が高かった月です)
2001年: 4月号 「医療と経済」
2001年: 5月号 「歯医者の独り言」
2001年: 6月号 「小児歯科について」 
2001年: 7月号 「医療とは何か?」 
2001年: 8月号 「院長の知られざる過去」 
2001年: 9月号 「院長の知ってどうする過去」 
2001年: 10月号 「その後の僕のIT革命」 
2001年: 11月号 「院説」 
2001年: 12月号 「歯のハナシ」 
2002年: 1月号 「音楽のハナシ」 
2002年: 2月号 「歯医者の道具のハナシ」