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「間違いだらけの歯医者さん選び」

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2-1: 歯医者の腕前(1)
 前槁まで、あたかも「説明をしてくれる」歯医者さんが、ベストな歯医者さんのように受け取られかねない書き方をしてしまったかなあ、と思っております。

 今槁より、歯医者の腕前について、書かせていただきます。

 このコーナーをご覧の方々の中に、僕が「歯医者」と「歯医者さん」と書き分けているのにお気づきの方がいらっしゃると思います。
 僕も意図して書き分けてきたつもりではないのですが、「歯医者」という単語はよくよく考えてみると妙な言葉なのです。
 例えば、「郵便局の隣りに、今度新しい歯医者さんできるわね」と言うと、「歯医者」は「歯科医院」を表します。
 「いやあ、あそこの歯医者さんは腕がいいね」という場合は、「歯医者」は「歯科医師」のことを指します。つまり、「歯医者」という単語は「歯科医師」自身を表し、さらに建物やスタッフを含めた包括的な意味をも込められた単語でもあります。
 他にこのような使われ方をする言葉は少ないと思われます。例えば、「今度、近くに内科ができる」と言っても、「内科」そのものがドクターを指すことはないでしょうし、「うちの近くのコンビニのおにぎりおいしいよ」という場合、「コンビニ」にその店の店長を指す意味合いはゼロです。

 まあ、あえて似た使われ方をする業種を探せば、「床屋さん」くらいでしょうか・・・

 「さん」を付けるか付けないかは、どちらかと言うと患者さんの意識から生じると思われます。
 例えば、どうしても抜くことに納得できないのに抜歯されたら、「あの歯医者で歯を抜かれた」と言うでしょうし、逆に思ったより痛くない治療を受けたら「あそこの歯医者さんいいわよ」と、さん付けで呼ぶのではないでしょうか?

 まあその程度のニュアンスの違いと受け取っていただければ幸いです。

 さて、お話が随分脱線いたしました。
「腕前」という言葉もまたあいまいな単語です。また、細かいニュアンスの話で恐縮ですが、単に「腕」と言うのと「腕前」というのはちょっぴり異なります。
 「腕」は「腕が良い」、「腕が悪い」の様に良し悪しの意味合いは含んでおりません。
 「腕前」は違います。なぜなら「腕前を披露する」と言えば、それは「腕前の良さを披露する」ことであり、悪い腕前の意味合いはないからです。似た単語に「天気」があります。
 「今日はお天気だね」と言えば、暗黙に晴天をさします。

 今槁は脱線ばかりですみません。つまり、日本語は正確に書こうとすればするほど、細かいニュアンスに微妙な違いが生まれてきますし、へたをすると読み手に正反対の意味合いに受け取られかねない、という危険性をはらんでいる、ということを言いたかったのです。

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