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「間違いだらけの歯医者さん選び」

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3-3: 一人の歯医者ができるまで(2)
 卒業後の進路はおおまかに分けて、「大学に残るという道」と「開業医に勤務するという道」の二通りがあります。大学も出身校の講座や、別の大学の講座、また大学院へ進学するなどに細かく分かれますが・・・。 開業医も個人的な歯科医院から、ドクターが何人もいるような大きな歯科医院まで様々あります。
 二つの進路の大きな違いは、「大学」は診療と研究、そして教育すべてに従事しなくてはならない所であり、「開業医」は主に診療のみに従事すればよい所と言えます。
 また、一般に「開業医」に就職した場合は広く一般的な技術、知識を研修できるのに対して、「大学」では主に入局した講座で「得意分野」の腕を磨くという違いもあります。
 ただ、開業医ではほとんどの場合、雇い主一人の診療内容しか見ることができませんが、大学はいろいろなドクターのやり方を見ることができます。(もちろん開業医でも大きな組織の場合もありますし、閉鎖的な大学の講座では「教授の」やり方が一番で、別のパターンを認めないというケースもありますが)

 また、一般的に大学に残ると研究をしなくてはなりません。これは「明日の歯科医療」のために必要なことであり、一方「専門的な」知識を身に付けさせてもらう「恩返し」でもあります。
 もちろん「研究結果」が学会で認められれば、それは「業績」となります。自分にとっても名誉なことですし、大学の講座にとっても名誉なことです。「業績」を積み重ねて「大きな仕事」として認められれば「博士」の称号が与えられます。
 ただし・・・、「博士」が必ずしも治療の腕が良く、人柄が良く、説明が上手で「良い歯医者」とは限りません。もちろん、一つの研究対象に打ち込んで仕事としてまとめあげるのは大変なことですが、概して研究の対象は「自分の治療技術向上には寄与しないテーマ」であることが多いのです。
 
 一方、「開業医」に勤務するドクターは、毎日院長の診療を見て、指導を受けて「歯科治療」を自分のものとして身に付けていきます。
 雇い主である院長の影響を色濃く受けますので、幸い腕がたって良い治療をする院長の元で研修すれば、良いドクターに育っていく可能性が大でしょうし、もしかしたら金儲けのことしか頭にない院長の元で働けば、そういう影響を受けるかも知れません。
 「自分」がしっかりしていれば、影響されないと思われるかもしれませんが、師の影響はかなり大きいものがあります。
 もちろん、大学に残ると講座の影響を受けますが、幸い「師」となる先輩がたくさんおりますので、自分にあった「師」を見つけて良い「師弟関係」を築ければ、プラスの影響を受けます。

 大部分の歯科医師は最終的には開業します。大学に残り続けるには、絶えず研究し、業績を挙げていなければなりませんし、個人開業医に勤務していても一生そこで働き続けるわけにはいかないからです。大きな病院の歯科や歯科口腔外科に勤務するという手もありますが、就職口としてはごくわずかしかありません。

 大体以上のような道筋で、「歯医者」ができあがっていきますが、次回より「歯医者の質」の槁の続きに戻ります。

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