top pageに戻る

トップページに戻る


「間違いだらけの歯医者さん選び」

前のページに戻る   「目次」へ戻る   次のページへ進む

5-1: 治療法と治療費の目安(虫歯編-1)
 一般の患者さんからは、恐らく大変不透明でカラクリがわかりづらいであろう「歯科の治療費」をできるだけわかりやすく書いていくつもりです。

 ただし、治療費にはいくらか幅があります。使う材料によって異なったり、ちょっとした違いで料金が異なってきたりしますので、あくまで目安とお考え下さい。

 まずは一般的なところで、小さな虫歯の治療法とその料金のお話です。

 虫歯菌が最初にアタックをするのは、歯の表面を覆うエナメル質という、体で一番堅い成分のところです。実際虫歯菌が歯を食うのではなく、虫歯菌が糖を代謝して酸を産生し、その酸で歯が溶かされます。
 エナメル質が酸で溶かされると、表面が少しざらざらしたり、小さな穴が開く程度で痛みが出たりしみたりといった症状はほとんど出ません。一般にC1と呼ばれる状態です。
 程度が軽ければ、敢えて治療は必要ありません。よーく磨いていれば進行は止まります。もちろん色がついたりすることもあり、見かけが気になれば治療の対象となります。

 虫歯菌がエナメル質を溶かしきると、象牙質という部分に達します。ここはエナメル質より柔らかい素材でできており、さらに神経に通じる穴が無数に開いているため、まずは冷たいものがしみるという症状が出やすくなります。
 虫歯菌の酸による溶け具合はエナメル質に比べると、はるかに溶けやすくなるので急速に拡大していきます。まずは治療しなければ進行の一途をたどります。
 C2と呼ばれる状態です。

 C1及びC2の初期の段階では、虫歯菌によって溶かされて柔らかくなった歯の部分をきれいに削り取って、そこに一種のプラスチック(レジン)を詰めるという治療が一般的です。
 現在は光を当てると固まるレジン(光重合コンポジットレジン)を素材として用いるのが普通です。プラスチックのような素材と、ガラスのような素材の細かい粒子からなるこの材料は光沢も見た目も、また強度もかなり歯に近い性質を持った製品が出回っており、まず治療した部分が見分けがつかない治療が可能となりました。

 また、最近このレジンと「アイオノマー」と呼ばれる一種のセメントによる複合素材も出てきております。歯の神経に優しい性質と直接歯に接着する性質を併せ持ち、急速に普及しております。
 ただ、実感として「光重合コンポジットレジン」に比較して強度がやや劣るかな、という印象があります。みかけは、より透明感がある感じがいたします。

 いずれにしても料金は1本の歯につき、何箇所この材料で詰めるかによって異なってきます。また、通常この材料を詰める前に、歯にくっ付き易くする処理、そして詰めたあと表面をきれいに磨くという処置ワンセットで一連の治療となります。

 治療費はもっとも単純な虫歯で一本につき2割負担で約500円、3割負担で約750円位です。
詰める箇所が増えると料金は上がりますが、最大2割負担で約1100円、3割負担で約1700円位になります。
 また、その日のうちに削って詰める治療か、あるいは一度虫に食われた部分を削って後日詰めるという治療法もありますが、トータルではこちらの方がやや高めになります。
 (やや深めの虫歯に対しては、すぐ詰めるよりも一度虫の部分を削って仮の薬を詰めておき、後日ちゃんときれいに詰めなおすという治療の方が丁寧な治療ではあります)

 ただし、同時に歯の汚れや歯石をきれいにしたり、歯の根にこびりついた汚れなどを取る処置をするケースも多く、その際はやや料金が上がります。また、当然初診料なり再診料もかかりますので、上記の料金が単純に加算される性質のものではない、ということをお含みおきください。
 また、歯医者さんによっては、さらに歯の磨き方指導があったり、歯槽膿漏などのチェックもされることが多く、その場合はその料金も加味されます。

前のページに戻る   「目次」へ戻る   次のページへ進む